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長期のデーターでバックテストしなければならない理由
投資をするときに多くの人が間違いやすい事があります。
それは「とりあえず、今日儲かればいいや」という非常に短絡的に目の前の儲けばかりを追う姿勢です。
しかし投資は「儲け続けなければ意味がない」のです。
明日のことは誰にも分からないのですから、得したり損したりするのは当然です。
しかし、それでも資産が増え続けないと投資している意味がありません。
ここに投資の難しさがあります。
結局のところ、波のようにやってくる利益と損失の中で、利益の方が多く残らないといけないのです。
例えば、1ヶ月の株価デーダだけで、いつも気まぐれにやってくる値動きの上げ下げの癖を捕らえられるでしょうか?
それはきわめて難しいことです。
では1年間の株価データではどうでしょう?
1年間の株価データを使って利益を上げ続けるシステムを構築しても、その1年間だけしか利益が上がらないシシテムかもしれません。
「来年はさっぱり儲からない」可能性は大いにあります。
それでは10年ではどうでしょう。
10年あれば、値動きの癖もある程度は分かってきます。
経済指標としてよく紙上に載る「消費サイクルは4年」「設備投資サイクルは10年」と言われています。
有効なシステムを作る際は、最低10年間の株価データが欲しいものです。
データが長ければ長いほど、確実性が高いシステムをつくることができます。
10年一昔といいますが、できれば20年くらいのデータが欲しいものです。
10年で一つの時代を区切るとすれば、20年では時代を2回分検証することになります。
20年なら株価の多きな流れはつかめますし、その間にさまざまな出来事がおこり、それはその都度株価に織り込まれていきます。
そうしていろいろな出来事を飲み込みながら、株価が形成されていきます。
当システムでは19年間の日経225先物の株価データを使って、徹底的にバックテストを繰り返しました。
| 実は右肩上がりのシステムをつくるのは簡単です。短期データーを使えば・・・ |
短い期間の株価データならば、単純な売買ルールを使っても利益が右肩上がりになるシステムを作るのは、実はとても簡単なんです。

これは1995年6月末から1996年4月末までの約10ヶ月間「寄り付きで買って大引けで決済」という単純な売買ルールでトレードした場合の損益曲線です。
このように単純な売買ルールでも、利益はある程度右肩上がりになります。
それでは、このデーターをもう少し長くしてみましょう。

これは1995年6月末から1997年1月の19ヶ月のデータです。
先ほどとまったく同じ「寄り付きで買って大引けで決済」という売買ルールでトレードした損益曲線です。
ご覧のように、利益が見事に帳消しになってしまいます。
上の右肩上がりのグラフは、下のグラフの赤い矢印↑から↓までだったわけです。
これを知らずに10ヶ月間の株価データだけを一生懸命バックテストしても、このように使い物にならないシステムができるだけです。
気が早い人は、上の右肩上がりのグラフを見て「簡単だ!これなら絶対儲かる!」と思うかもしれません。
そしてさっそく翌日から「寄り付きで買って大引けで決済」という売買を毎日繰り返したとしたら、、、、悲惨な結果が待ち受けている事になります。
もう一つ例をあげてみましょう。
実はこれは私が実際に取引していた、FXのポンド円のシステムトレードです。
2003年以降の約3年間の週足で、いろいろな検証をした結果右肩上がりのグラフができました。
そのグラフがこれです↓

なかなかよさそうなので、実際に取引しておりました。
そして実際に利益が出ていたので、シメシメと思っていたのですが、あるときから長期データで検証することの大切さを知り、1987年からのデーターを入手して、そのとき使っていた同じ売買ルールでやったらどうなるか検証してみました。
その結果がこの下のグラフです。

これを見て、私は背筋が寒くなりました。
2003年からは確かに右肩上がりになっていますが、それ以前はこの売買ルールで取引すると損失だらけです。
私はすぐにその売買ルールを捨て、損失が出る前に取引をやめました。
投資関連のサイトでも、短い間の結果をグラフで表示して「このように儲かります」と宣伝しているところも多いですが、十分な注意が必要です。
長期のデータを使ってシステムを作ることは「デコボコだらけの損益を、どうやって滑らかに右肩上がりにしていくか」ということでもあります。
それは何十何百通りもの売買ルールを当てはめて一つ一つ検証し、その中から一番有効な指標を探し出すことでもあり、それはまるでジャングルの中で道に迷った人のように、道なき道を行き黙々と出口を探す人にも似ています。
それは非常に時間のかかる地道な作業であり「本当に有効なシステムが作れるのか」という自分自身の迷いとの戦いでもあります。
「最適化」はシステムをつくるときに何度も繰り返す作業ですが、過度な最適化は避けなければなりません。
よくシステムトレード関連の書籍を見ると「シンプルなシステムがいい」というようなことが書かれていることが多いですが、これも過度な最適化を戒めたものでしょう。
シンプルなシステムは長い間機能することが多く、複雑なシステムはその時期だけしか有効に機能しないことが多いのです。
それは値動きの癖は変化するものだからです。
値動きの変化に対応しきれないシステムは、長い期間では使い物にならなくなってきます。
シンプルなシステムほどどんな値動きの癖にも対応できるので、急激な利益の増加は望めませんが、少しずつ長期間にわたって着実に利益を重ねることができるのです。
バックテストしていて極度にフィットするシステムを見つけたならは、逆に注意が必要です。
それは「そのときだけ儲かる」システムであり「儲かる時期が過ぎたらあとは損失ばかり」ということが多いからです。
長い間有効に機能するシステムは、急激には儲からないですが、少しずつ利益を積み重ねていくタイプのものが多いで、実際に運用する際には精神的に余裕を持って取引できます。
ある一時期だけ有効な指標は、長い期間では平均かそれ以下の結果しか出せないことが多いのです。
19年前は1988年です。
一口に19年と言ってもその間には、いろいろな出来事がありました。
ざっと思い出しても次のような出来事がありました。
1988年・・・リクルート疑惑
青函トンネル開業
瀬戸大橋開通
1989年・・・バブル経済
消費税スタート
昭和天皇死去
美空ひばり死去
1990年・・・東西ドイツが統一
三菱地所がロックフェラービルを買収
さくら銀行設立
1991年・・・ 湾岸戦争勃発
ソ連崩壊
あさひ銀行設立
新都庁完成
1992年・・・バルセロナ五輪
PKO法案成立
毛利さん宇宙へ
1993年・・・皇太子結婚
北海道西南沖地震
サッカーJリーグ開幕
1994年・・・松本サリン事件
記録的猛暑
大江健三郎ノーベル賞
1995年・・・阪神大震災
地下鉄サリン事件
円高、1ドル79円75銭
大和銀行ニューヨーク支店で米国債投資で損失1000億円
1996年・・・住専問題
O-157
ペルー日本大使館人質事件
東京三菱銀行設立
1997年・・・ダイアナさん事故死
香港イギリスから中国に返還される
消費税引き上げ
ヤオハン倒産
山一證券自主廃業
ヤフー株公開 初値200万
1998年・・・金融ビッグバン幕開け
和歌山カレー毒物事件
長野五輪開幕
1999年・・・ユーロ導入
石原慎太郎東京都知事に
ITバブルでIT銘柄連日上昇
2000年・・・ITバブル崩壊
そごう破綻
日本で狂牛病発見
2001年・・・ニューヨークテロ
小泉内閣発足
イチロー大リーグで活躍
2002年・・・日韓共催ワールドカップ開催
拉致被害者5人帰国
松井選手大リーグへ
2003年・・・日経平均バブル後最安値4/28 7607円
りそな銀行に公的資金投入
日本郵政公社発足
イラク戦争勃発
2004年・・・アテネ五輪
自衛隊イラクへ
スマトラ島沖大津波
新潟県中越地震
2005年・・・福知山線脱線事故
耐震偽装問題
ハリケーンカトリーナ上陸
2006年・・・ライブドア堀江社長逮捕
安倍内閣発足
19年という長い時間の中でこれだけの出来事があり、あるときは株価急落として、あるときは株価上昇としてその出来事は株価に織り込まれていきました。
干支は12年で一周して、また子丑寅卯・・・と続いていきます。
12年もすると一つの時代が終わり、人々の記憶から消えていきます。
当システムでは、過去19年間の値動きを徹底的に検証しました。
相場に絶対はありませんので、この売買ルールがこの先も有効に続いていくことは100%とは言えませんが、急激な値動きの変化がない限り、まだまだ有効に機能すると思います。
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